小説の書き方

小説 文学 書籍

Month: May, 2012

#37 文体

 小説には作家ごとの文体があります。文体はリズムと密接に関係していますが、読みやすい読みにくいという感覚も個人差があるので、文体を偏差値的に優劣で評価することはできません。
 論理的なのか、感覚的なのか。読みやすいのか、重厚なのか。リズミカルなのか、重いテンポなのか。漢語が多いのか、外来語が多いのか。
 プロであっても、個性的な文体の作家とそうでない無個性な文体の作家がいますが、複数の作品を書く以上は、作家の文体はある程度共通したものになります。
 文体を磨く最良の方法は、自分が良いと思う作家の文章をそのまま模写することです。
 アマチュアであっても、小説の文体は意識しなければいけません。

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#36 キャラクター設定

 小説の醍醐味は、登場人物のキャラクターにあると言ってもいいと思います。あたかも実在の人物以上に、いきいきとリアルに描かれた登場人物は、読者に強烈な印象を与えて、小説を読み終わったあともずっと読者の中で生き続けます。そのためには登場人物の緻密なキャラクター設定と丹念な人物描写が必要です。出てくる人物が全て抽象的で個性がない場合、読者は小説の中に入っていけません。
 どのような人物なのか、どのような性格なのか。それを小説の全編の中で直接的間接的にしつこく描くことが大切です。
 登場人物のキャラクター設定が成功すれば、様々なプロットにそれをあてはめていくことができます。続編の制作も容易になります。

#35 実名と架空名

 小説の中に出てくる駅や地名などの固有名詞は、仮名などでごまかす場合と、実名のまま記述する場合の両方があります。
 実名のまま書く場合は、事実との整合性が必要になります。電車で言うと、駅の形状や電車の行き先などに矛盾がないか調べないといけません。また時代考証的に矛盾がないかもチェックが必要です。
 仮名などでごまかして書く場合は、そういう心配はありません。ただし当然ですが、実名の方がより強いイメージや臨場感を読者に与えることができます。
 個人的には、架空の名称よりも実名が出てくる小説の方が好みではあります。

#34 作品の評価

 小説に限らず、芸術作品の評価というものは非常に難しい部分があります。
 それはもちろん、作品自体の完成度、意味、芸術性がときとして難解なことと、それを読み取る読者のレベルが様々なことに由来します。
 つまり作品自体が、作者の意図しなかった意味を持ちうる場合もありますし、読者に至っては、小学生から大学の教授までそれこそ多種多様な人間がその作品を様々なレベルで解釈することになります。(以前から、夏目漱石や森鴎外のような文学作品を小学生や中学生のときに読むのは、かなりナンセンスなことだと思っています)
 ですので結論としては、芸術作品としての小説の絶対評価というものは存在しない、ということでいいかと思います。作品を評価する人もいれば評価しない人もいる、ということになります。

#33 調査と取材

 小説は、読者に対して文字だけで様々な状況を説明しないといけません。よって、執筆者は描写する状況についての全てを具体的かつ詳細に把握している必要性があります。
 執筆者自身が把握していない場合、そのシーンの描写は抽象的か曖昧なものにしかならないからです。ですので詳細にシーンを描き込む場合は、調査や取材が必要になってきます。写真から文章を起こすのは非常に重要です。ネットや書物でもそこそこ調べることは可能ですが、もし現場に行けるのであれば取材に行くのがベストです。写真も撮りましょう。
 部屋の中の執筆だけで完結してしまう小説は、細かい描写については不十分になる可能性があります。 

#32 三題噺

 小説のプロット作りのトレーニングに、「三題噺」というものがあります。元々は落語の言葉ですが、その名の通り、関係のない三つの題材を使って一つのストーリーを作ります。
 例えば「鉛筆」「相撲」「失恋」の三つの素材を組み合わせてプロットを作ります。
 この方法ですと、人物と起承転結から物語を作るのではなく、サブアイテムから物語を作るので、少し視点を変えることが出来るのです。また、全く関係のない三つのテーマが有機的に結合し、作り手が予想もしなかった効果が発生してきます。もし機会があれば是非チャレンジしてみて下さい。