小説の書き方

小説 文学 書籍

#56 海外小説

近代小説の起源は18世紀のフランスくらいに遡るようですが、その後西欧で近代小説というジャンルが完成されました。
それは明治以後に日本に輸入され、日本独自の小説というものが生み出されました。
ご存じのように古今の海外小説には偉大な名作が多くありますが、日本語に訳された翻訳版によって、原作を100%鑑賞するのは不可能だと言われています。
小説の魅力は内容と同時に文章の技巧にあるので、翻訳された小説ではその部分は再現不可能であり、原作の魅力を完全に堪能するには原著にあたるしかないというわけです。
さいわい、今ではAmazonやKindleで洋書を買うのが非常に安価で簡易になっていますので、これはという海外小説は、原著に挑戦するのもいいかもしれません。

#55 独立系出版社

日本では出版不況が年々悪化する一方、年間の出版点数はどんどん増加しています。そのために、どんどん過当競争が進んでいます。
潰れている出版社も多いのですが、それとは逆に、個性的な独立系の出版社も出現しています。

夏葉社

吉祥寺にあり、社員一人で運営されています。

ナナロク社
良質な本を出されています。

アルテスパブリッシング
音楽に特化した出版社です。

既存の出版社がどんどんインディ化していく中で
こういった独立系の出版社は、ますます存在価値を高めていくと思います。

#54 作家になる方法

作家になる方法は、まずは新人賞を取るというルートが思いつきますが、実際のところ新人賞その他の賞を取ったとしても、その後も作家として順調にやっていける人は、そんなに多くはありません。
新人賞である芥川賞を取っても、その後専業作家になっていない人は多くいます。
職業作家として独り立ちするには、良質な作品を、継続的に出していける実力が必要になります。
また、作家と作品をうまくプロデュースしていく編集人や出版社の協力も必要です。
「実力」と「営業・プロデュース」の二点が満たされることが、職業作家の条件と言えるでしょう。

#53 キャラクター設定

映画の場合、ヒット作品を作るためには、人気俳優を起用することが基本です。それが、映画を見る人に配役のファンになってもらう手っ取り早い方法だからです。
小説の場合も、読者に主人公や登場人物を惚れされることが重要です。
そのために必要なことは、強力なキャラクター設定になります。平凡で特徴のないキャラクターだと、読者の心をつかむことはできません。
キャラクター設定は、説明的な描写ではなく、その登場人物の個性的な言動になります。
具体的なアクションを描くことが、強力なキャラクター設定につながります。

#52 オマージュ

オマージュ(=和歌で言うと本歌取り)は、芸術や文学的手法として確立したテクニックです。
古今東西の名作を、様々なアレンジを加え、自作小説の下敷きや素材にする方法です。
バレないようにそのままパクッてしまうと、盗作になって、これはアウトです。
原作を冷やかして利用すると、パロディになります。
オマージュは、作者と読者ともに深い教養と読解力が要求される、高度な技法です。

#51 会話文

会話の台詞は、現実世界の実際の会話とは似て非なるものです。
小説では登場人物のビジュアルが読者には見えないので、描写と説明、それに会話文でそのイメージを読者に伝えることになります。会話の台詞は、読者に登場人物のイメージを伝える最高のインターフェイスと考えていいでしょう。
よって、会話文では、発話者の性別、年齢層、関係性、人物像を十分に考慮した台詞が求められます。
意味のない相づちや不要な台詞も削ぎ落とした方がいいでしょう。
リズム感や会話の妙を出すことが、小説には求められます。
また会話の特徴が、その小説や作家の重要なスタイルの一部になることは、村上春樹の小説を見れば理解できると思います。

#50 登場人物を増やす

小説にはプロットに応じた適正な分量があり、少人数の構成だと、途中からストーリーが進まなくことがよくあります。
そんなときに物語の展開の起爆剤となるのは、「登場人物を増やす」というテクニックです。
いきなり主人公の昔の恋人や、生き別れになった実の親が出てくるという場面を、これまで読んだ小説でも経験したことはないでしょうか。
「新しい登場人物の登場」、覚えておいて損はありません。

#49 小説の三要素

小説の内部は、大きく三つの要素に分けられます。
1)物語にリアリティを与える「描写」
2)物語を導いていく「説明」
3)登場人物に生命を与える「会話」
の三要素です。
これらが三位一体となって強力な化学反応を起こしたときに、小説はとてつもない力を持ちます。
この基本の三要素は、古今東西どのような作品でも不変です。
「説明」だけがやたらに多いと、小説ではなく単なる「あらすじ」になります。

#48 タイトル

小説のタイトル(題名)は、小説の要素として非常に重要なものです。
人間の名前と同じで、その作品はそのタイトルを通して認識され、流通され、購読され、評価されます。
読者は作品を読むよりも前に、タイトルから受け取るイメージでその作品の内容を想像します。
タイトルのつけ方は、小説の書き方というよりも、コピーライティングの技能が必要です。
コピーライティングは簡単なようでいて、なかなか難しい技術です。

#47 装丁

本は紙と文字で出来ていますが、それだけではありません。本の中身の活字の版組と、表紙と裏表紙の装丁も、本の非常に重要な要素です。
元々本の装丁はそれ専門の職人による高度な芸術品でしたが、印刷が自動化された現代では、職人による装丁はごく一部の非常に贅沢な本にのみ許されたものとなりました。
表紙と裏表紙は、今も本の装丁デザインの専門家により作られています。ただしデザインを決めるのは基本的に作家ではなく編集者です。
表紙デザインは、本の内容以上にその本の印象を伝える力が強いと思います。よいデザイナーに恵まれた小説は幸せだと言えます。